【8月10日 CNS】中国・上海でこのほど調印された米テスラ(Tesla)新エネルギー自動車プロジェクト。「ネガティブリスト2018年版」に基づく新エネルギー自動車製造の持株比率制限緩和を公布後、初めて実現した外資単独資本のプロジェクトだ。上海市が「外資導入の新たな高みへ」と称する新政策を提唱後に実現した、最新のプロジェクトでもある。

 ここに至るまで、上海市はさまざまな産業で対外開放を進めてきた。

 自動車産業では、上海で史上最大の外資製造業プロジェクトであるテスラのほかに、上汽大衆(SAIC Volkswagen)がフォルクスワーゲングループの最新の純電気自動車プラットフォームであるMEBをベースとした、中国で初めての純電気自動車の製造工場を上海で建設する話を進めている。米シリコンバレー(Silicon Valley)の「小馬智行科技(Pony.ai)」などの中国内外の自動運転技術関連会社も、上海に根を下ろすことになっている。

 航空産業では、中国とロシアによる「ワイドボディ長距離旅客機CR929プロジェクト」が、上海で着実に進行している。

 船舶産業では、米国の「カーニバル(Carnival)」と上海の客船会社が提携して合弁会社を設立したほか、イタリアの客船製造会社「フィンカンティエリ(Fincantieri)」と上海・宝山区(Baoshan)は客船関連ビジネスの開発で提携。中船郵輪科技(Zhong Chuan Youlun)は上海外高橋造船(Waigaoqiao Zaochuan)と提携して、客船の設計製造を進めている。電気通信分野では、すでに外資39社がオンラインのデータ処理などのビジネスに取り組んでいる。

 このほか、中国では初めてとなる外資が単独で出資するヨット設計会社や病院設立計画などが上海で進められている。

「新たなハイレベルの外資導入の中で、上海は制度的革新や、対外開放の領域で新たな高みに上らねばならない」と、上海市共産党委員会党校研究院の鄒磊(Zou Lei)博士は語る。「上海は都市のコアとなる競争力を引き上げ、より有効に制度的な実行力を強め、戦略を固めなければならない。」

 上海への外資導入の勢いは、すこぶる好調だ。商務部門の統計によると、上期の「新増外資導入プロジェクト」は契約ベースで215億ドル(約2兆3900億円)、増加率18.1%で、払込資本金86億ドル(約9600億円)で増加率6.3%だった。香港、シンガポールからの上海への投資はそれぞれ22.2%と35.6%、欧州からの上海への投資は42.2%と大幅に増えた。米国からの上海への投資は、小幅に下降して1.7%減だった。

 新たに設置された多国籍企業拠点は17社で、そのうちアジア太平洋の地域本部は7社だった。また外資による研究・開発は8社だった。

 統計によると、上海の外資系企業の経営状態は良好で、1月から5月までの上海の売上げは10.3%、納税額は13.1%、利益額は17.6%それぞれ増加した。このうち、外資の製造業は売上げ、納税、利益額がそれぞれ9.3%、13.5%、18.7%増加したという。(c)CNS/JCM/AFPBB News