【8月9日 AFP】出会い系サイトを利用する人の大半は、自分にとって「高嶺の花」のパートナーを求める傾向があるとする論文が8日、発表された。米国の大都市4か所の異性愛者を対象とする調査に基づく研究結果だという。

 米科学誌「サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)」に掲載された論文によると、「男女ともに、自分よりも『好感度』が約25%高いパートナーを求めていた」という。逆に自分よりも好感度が著しく低い人々にコンタクトしたユーザーはほとんどいなかった。

 好感度の判定には、ニューヨーク(New York)、シアトル(Seattle)、ボストン(Boston)、シカゴ(Chicago)の米4都市の出会い系サイトで、他の人気の高いユーザーから受け取ったメッセージ数に基づく格付けアルゴリズムを用いた。

「好感度が高いユーザーからコンタクトを受ける人は、その人自身の好感度がさらに高いことが推定される」と、論文は説明している。

 検索エンジンに採用されているこの「ページランク(PageRank)」というアルゴリズムを用いて、研究チームは個人の「格付け」を行い、「好感度の階層」という科学的造語を生み出した。

 パートナー探しゲームの頂点に位置する一部の人々には、恋人志願者たちからめまいがするほどのメッセージの嵐が殺到していた。

 調査対象の4都市で最も人気の高かった個人は、ニューヨーク在住の30歳の女性で、観察期間内に1504通に上るメッセージを受け取っていた。これは「1か月を通して、昼夜休みなく30分ごとに1通のメッセージが届いた状態に相当する」という。研究チームはこの女性の恋物語の結末については明らかにしていない。

 一方、出会い系サイトユーザーの大半は、自分よりも「格」が高い人々にコンタクトする傾向があることを発見した。

 また、相手が属すると思われる「好感度の階層」が高いほど、より長いメッセージをその相手に送る傾向もみられた。だが、この長文による大きな賭けはほとんどの場合、期待外れに終わっていた。

 出会い系サイトのユーザー間で好感度に大きな差がある場合、「返信の可能性は顕著に低下する」と、論文は指摘している。

 短いメッセージよりも長文メッセージの方が、パートナー候補に返信を送らせる成功率が高い兆候がみられたのは、シアトルだけだった。

 人々は太古の昔から、手の届きそうにない高嶺の花に思いを寄せてきたのだろう。だが、論文の主著者で、米ミシガン大学(University of Michigan)の社会学者エリザベス・ブルック(Elizabeth Bruch)氏は、この現象を科学的に調査することで希望の種がもたらされるという。

「人々が出会い系サイトを利用する際に多い不満は、一つも返信が来ない気がするという声だろう」とブルック氏。「そう思えば、気落ちしてしまうだろう。だが、たとえ返信率は低いとしても、そのように高嶺の花を目指す人々の21%は、実際に相手から返信を得ている。粘り強さは報われるのだということを、今回の分析結果は示している」

(c)AFP