全聚徳が直面する問題について、中国食品産業アナリストの朱丹蓬(Zhu Danpeng)氏は、「ブランド力が老化していることと商品のイノベーションやアップグレードの欠如。さらに人気料理のジャンルや選択肢が増えた結果、消費者が北京ダックを食べなくなった」と指摘する。

 このことは、「北京ダック」をセールスポイントとする全聚徳にとって、ほかの北京ダックを出す店との競争が大きな課題となるということだ。

 北京市で全聚德と同様に知名度のある大董烤鴨店を訪れた。店内は客層こそ中・高収入層とおぼしき消費者が多いが、観光客が特に密集する王府井地区にあるため、店は混んでいた。

 夕食の時間帯を過ぎた午後9時という遅い時間にもかかわらず、店内は少しの空席がある程度。この時間を過ぎても、客が訪れ料理を注文していた。店員は、「毎日午後6時から8時にかけて行列が多く、最も多い時で70~80席が埋まる」と話す。

 一方、業績の伸び悩む全聚德。100年超の伝統を持つブランドとして今後、いかにして当面の危機を乗り越え、さらにその先へ行くためにはどうすべきなのか。

「全聚德がイノベーションを起こす可能性はほとんどない。今後はブランド力と料理の品質、また企業としての資本力を利用し、優良な企業株の買収など進めていくことが解決への道になるだろう」と朱氏は話している。(c)東方新報/AFPBB News