■義足で「明るく元気に」

 リハビリセンターが義肢の製作に乗り出したのは2010年。その翌年に内戦が始まった。施設所長のナジール・カナーン(Nazeer Kanaan)氏によると「銃撃や迫撃砲、ロケット弾、砲弾のかけらや地雷」などによる負傷で、義肢の需要はどんどん増えたという。

 2014年に作られた義肢は250個だったが、昨年はその2倍に達した。今年5月以降は、月50個のペースで製作が進められている。

 ここでは主に、膝周辺から先を失った人のための義足が作られている。スーパーバイザーを務める義肢専門家のアヤット・エザディーンさん(28)は、「時に本当に絶望してここを訪れる患者がいる。けれど、われわれが義肢を提供すると明るく元気になる」と話す。

 取材当日、10歳少女のアマニさんが義足で歩く練習をしていた。練習を開始してからまだ2日目だった。ピンク色のレースが付いたトレーナー姿のアマニさんは、東部デリゾール(Deir Ezzor)県からこの施設に来た。デリゾールは、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が、ここ数年で制圧領域を大きく失った場所だ。

 ISはロシアが支援するシリア政権軍と、米国が支援するクルド人主体の民兵組織「シリア民主軍(Syrian Democratic Forces)」の2方面から圧力を受けて撤退し、その際に地雷を埋めていった。

「アマニは外に遊びに出かけ、埋められていた地雷で片足の膝から下を失った」と叔母(28)は言う。「ありがたいことに、彼女はもう一度歩けるようになる」

 映像は7月15日撮影。 (c)AFP/Layal Abou Rahal