【8月6日 AFP】(更新、写真追加)フランス料理界の巨匠で、高級レストランガイドブック「ミシュランガイド(Michelin Guide)」で史上最多の星を獲得したジョエル・ロブション(Joel Robuchon)氏が6日、死去した。73歳だった。

 友人の料理評論家ジル・ピュドロウスキ(Gilles Pudlowski)氏はAFPに対し、ロブション氏は新たなレストランの開店を予定していたスイス・ジュネーブで、膵がんにより亡くなったと説明。バンジャマン・グリボー(Benjamin Griveaux)政府報道官も、同氏の死去をツイッター(Twitter)投稿で認めた。

 1990年に美食ガイド「ゴー・ミヨー(Gault & Millau)」が選んだ「世紀のシェフ」4人に入ったロブション氏は、3大陸に多数のレストランを開店してグルメ界に革命を起こした。ミシュランガイドでは一時、史上最多の星32個を獲得し、死去時も24個の星を保持していた。

 駆け出しのころから完璧主義を貫き、えり抜きのシェフが集まるヌーベルキュイジーヌ界でたちまち名を上げると、30歳でパリのホテル「コンコルド・ラファイエット(Concorde Lafayette)」で約90人が働く厨房を率いるようになった。

 ミシュランガイドの星に加え、多くの賞も受賞。自ら身を粉にして働いた後、50歳で引退を決意した。

 しかし、数年後に「アトリエ」というコンセプトを引っ提げて現役に復帰。これは日本のすしカウンターに着想を得たもので、伝統的な三つ星レストランとは異なる、より手の届きやすい店を意識したものだった。

 同氏が東京やパリ、中国のマカオなどに構えたレストラン「ラトリエ(L'Atelier)」は、客がU字型のバーに据えられた高いスツールに座り、シェフらが立ち働く姿を見ることができる形態で、美食家らが列を成して訪れている。(c)AFP