【8月6日 AFP】ナチス・ドイツ(Nazi)を公然と擁護するアート・ジョーンズ(Art Jones)氏、ホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)は作り話だと主張するジョン・フィッツジェラルド(John Fitzgerald)氏、そして「米国を再び白人の国に」と呼び掛けるリック・タイラー(Rick Tyler)氏──前時代の遺物のような考えを信奉するこれらの人々は、いずれも米国で今年実施される中間選挙の共和党候補者だ。

 21世紀の米政界、そしてドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領政権下では、過激主義や偏狭な持論、さらにはあからさまな白人至上主義や反ユダヤ主義が息を吹き返し、ごく一部の知名度の低い変わり者が毒づいているだけとはもはや言えないような事態になってきている。

 彼らは今年、全米で近年まれに見るほどの露出度を高めている。一方で、保守派を中心としたヘイト勢力の出馬に、共和党が非常に困惑していることも分かってきた。

 民主党の地盤であるイリノイ州の予備選では、共和党から立候補したのがジョーンズ氏のみだったことから、同氏は共和党の下院議員候補に選出された。ジョーンズ氏はホロコーストを「史上最大で最悪のうそ」と呼び、大きなかぎ十字を中央に配した新聞広告を出したこともある。

 ノースカロライナ州の州議会選に立候補しているラッセル・ウォーカー(Russel Walker)氏は、「人種差別主義者でいることの何が悪い」「(ユダヤ人は)悪魔の子孫だ」と主張している。

 ウィスコンシン州では、引退を表明した共和党ポール・ライアン(Paul Ryan)下院議長の後任を狙う同党主要候補者ポール・ネーレン(Paul Nehlen)氏が、「オルト・ライト」(オルタナ右翼)運動のリーダーと目されている。反対派から警戒されている同氏は、米国の文化や政治の場で白人ナショナリストや反ユダヤ主義者により強い地盤を提供することを模索している。