【8月6日 AFP】米ニューメキシコ州の警察は、武装した男らが占拠していた荒れ果てた潜伏先を強制捜索し、1~15歳の子ども11人を救出したと発表した。

 同州タオス(Taos)郡保安官事務所によると、昨年12月に3歳の男児が連れ去られたとの通報を受け、その後数か月に及ぶ捜索活動の中で子どもたちを発見したという。同時にその場にいた男2人を逮捕した。

 保安官の一人は子どもたちが置かれていた状況について、「自分がこれまで目にした中で最も悲惨な生活環境と貧困」と表現した。

 捜査は昨年12月、ニューメキシコ州から遠く離れた東海岸のジョージア州ジョーンズボロ(Jonesboro)で始まった。

 クレイトン(Clayton)郡在住だったサラジ・ワハジ(Siraj Wahhaj)容疑者(39)が自身の3歳の子を連れ去ったと、男児の母親から警察に通報があった。母親の話によると、ワハジ容疑者はてんかんと発達障害のあるこの男児を連れて公園に出掛け、そのまま帰宅しなかったという。男児は依然見つかっていない。

 今月2日になってタオス郡保安官が、ワハジ容疑者に加え、ルーカス・モーテン(Lucas Morten)という名の別の容疑者の潜伏先とみられていた辺境のアマリア(Amalia)にある「タイヤと盛土に囲まれた」同地の捜索令状を出した。

 翌3日朝、10人超の保安官らが強制捜索に踏み切り、両容疑者が所持していたAR15型ライフルと弾丸30発が納められた弾倉5本、装填(そうてん)済みのピストル4丁を発見した。

 保安官らは「水も配管設備も電気もない、地中に埋まったトレーラー」の内部から、さらに多くの銃弾を見つけたという。

 保安官の話では、「この不潔なトレーラーの中で見つかった食べ物といえば、ジャガイモ数個と米1箱だけ。しかし最も衝撃的で悲痛だったのは、第三世界の難民のような姿をした大人5人と子ども11人を見つけた時だった」と明かした。大人のうち女性3人は、子どもたちの母親と考えられている。

 女性らは、ワハジ容疑者の息子については口を開いていないものの、警察は男児が数週間前まで同地にいたとみている。(c)AFP