【8月6日 AFP】ギリシャの首都アテネ近郊の沿岸部で先月23日に発生し90人の死者を出した大規模火災をめぐり、同国政府は5日、警察および消防当局のトップを解任した。火災発生後、警察・消防双方の情報が錯綜(さくそう)し、結果として現場に取り残された多くの人が死亡したとして政府の対応に批判が集まっている。

 アレクシス・チプラス(Alexis Tsipras)首相は短い声明を発表し、消防と警察両局長を更迭し、代わりに副局長をトップに昇格させると明らかにした。またこの発表に先立ち、市民擁護担当のニコス・トスカス(Nikos Toskas)内務副大臣が3日に辞任している。

 一方、野党は政府が適切な警告を出さず、頻繁に森林火災が発生していた沿岸リゾートのマティ(Mati)の住民を避難させなかった上、火災発生後は人的被害に関する情報を隠蔽(いんぺい)しようとしていたと非難している。

 また最大野党で保守派の新民主主義党(New DemocracyND)は、トスカス氏の辞任について「あまりに些細であまりに遅い」と指摘。火災の政治的責任を認めたチプラス首相は辞任すべきだと非難した。

 トスカス氏の権限下にあった消防と警察は火災発生後の数日間、事態の状況について矛盾する発表を行っており、ある警察の労働組合は今週、道路の封鎖を行うために必要な火災の正確な発生場所の情報について、消防当局が迅速に警察に知らせていなかったと明らかにした。結果的にこのことが車を運転していた人の多くが誤って火災区域に進入し、現場に取り残され死亡した要因となったという。(c)AFP