【8月5日 AFP】香港外国特派員協会(FCCHK)が、香港独立支持団体の代表による講演会を企画したところ、講演会の中止を求める中国からの圧力にさらされている。香港行政長官の林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)氏も5日、今回の企画について遺憾の意を表明した。

 外国特派員協会は、独立支持派団体「香港民族党(Hong Kong National Party)」の陳浩天(アンディ・チャン、Andy Chan)代表を招いた講演会を14日に企画している。

 小規模ながら香港市民の間で広く認知されている香港民族党については、香港当局が安全保障上の脅威になりかねないとして活動禁止を検討していると明らかにしている。

 1997年の英国から中国への返還以降、香港でこうした措置が検討されるのは初めて。香港当局は最近、中国を刺激する独立要求のいかなる動きも抑圧する姿勢をみせている。

 そうした中、事情筋の話によると、最近になって中国外務省が外国特派員協会との協議を要請し、陳氏の講演会を中止するよう求めてきたという。

 中国外務省も3日、「香港の独立分子が誤りを拡散する場を提供する、いかなる外部勢力にも断じて反対する」との声明を発表した。

 さらに、香港行政長官の林鄭氏も5日になって、講演会を「遺憾」だとし、「外国特派員協会の友人たちが、香港特別行政区は中国の不可分の一部だという事実を尊重することを願っている」と述べるとともに、協会が入居する建物は政府が所有するものだとし、外国記者協会に講演会の中止を求めた。

 陳氏の講演会は、外国特派員協会が伝統的に開催している「昼食会」の一環として企画されたもので、中国本土の高官を含めた政界関係者を幅広く招き、会員やメディアの前で話をしてもらうという形式をとる。

 一方の特派員協会は現在のところ、陳氏の講演を中止する考えはないという。同協会のビクター・マレット(Victor Mallet)副会長はAFPに対し、「協会は報道の自由や情報の自由を支持している」と述べ、「政治討論においては、あらゆる立場のすべての人たちの話を聞きたいと願っている」と付け加えた。(c)AFP