【8月4日 AFP】国連安全保障理事会(UN Security Council)の専門家パネルがまとめた報告書で、北朝鮮が国連の制裁を回避するために船上で違法に石油製品を移し替える「瀬取り」を大幅に増大させ、さらにイエメンやリビアに武器を売るためにシリアの武器密売人の協力を得ていたと指摘されていることが3日、判明した。

 国連安全保障理事会に送られた62ページにわたる報告書で専門家パネルは、石炭、鉄鋼、海産物などの輸出禁止に対する北朝鮮の違反を列挙。

 海上で行われる北朝鮮タンカーへの石油製品の移し替えが、「制裁回避のための主要な手段」となったままとなっており、船舶40隻、関連企業130社が関与したと報告している。

 また昨年採択された国連決議が定める石油、石炭などの輸入上限が守られていないことから、一連の違反が経済制裁を「無力化」していると、AFPが入手した報告書は指摘している。

 さらに報告書は、北朝鮮が「軽量の小型武器(SALW)など軍装備品を外国の仲介を経てリビア、イエメン、スーダンなどに供給しようと試み」たとし、フセイン・アル・アリ(Hussein Al-Ali)と呼ばれるシリアの武器密売人が「北朝鮮が生産した通常兵器や、場合によっては弾道ミサイルを、イエメンやリビアの武装勢力に提供している」とした。

 報告書によれば、この人物が仲介役を果たし、イエメンの反政府武装組織「フーシ派(Huthi)」と北朝鮮の間で2016年、シリアの首都ダマスカスで「大量の軍装備品」に関する協定が取り決められたという。

 専門家パネルは引き続き、北朝鮮が武器輸出禁止に違反した可能性のある軍事協力への調査を行うとしている。(c)AFP/ Carole LANDRY