【8月5日 AFP】チリで3日、南米で初めて商業分野でのプラスチック袋の使用を禁じる法律が公布された。3日付の官報(Diario Oficial)によると、「衛生または食品廃棄防止に必要な」基本的包装以外のプラスチック袋は全面的に禁止される。

 大規模事業者は6か月、中小企業は2年間でプラスチック袋の使用を段階的に廃止し、当面は1回の買い物で配布するプラスチック袋は2枚までに制限される。法案は6月1日に議会で可決され、同国のプラスチック産業協会(Asipla)が違憲だとして憲法裁判所に提訴したが、憲法裁は法案は有効だとする判断を下していた。

■チリの先進的な取り組み

 チリは、南米でプラスチック袋の使用禁止に積極的に取り組んできた国の一つ。2014年に当時のミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)大統領が、チリ側のパタゴニアでプラスチック袋の使用を禁止。禁止区域は昨年沿岸部にも拡大された。

 チリ政府によると、国内で1年間に使われるプラスチック袋は32億枚に上り、これは国民1人当たり約200枚に相当する。プラスチック袋の90%は最終的には埋め立て地や海に捨てられ、鳥や魚がのみ込むことが問題になっている。海に流されたプラスチック袋の有害性は、タイで最近、死んだクジラの体内から80枚以上のプラスチック袋が見つかったことで注目を集めた。

 プラスチックが環境に与える影響について、人々と各国政府の関心は高まっている。国連(UN)は昨年、法的拘束力はないものの、プラスチックによる海洋汚染を防ぐ決議を採択した。(c)AFP/Paulina ABRAMOVICH