【8月7日 AFP】中国のカンフー僧侶がハーフパイプを猛スピードで滑走し、法衣をなびかせながら、スノーボードで五輪金メダルに輝く――。まるでコメディー映画『クール・ランニング(Cool Runnings)』の続編のように聞こえるかもしれないが、2022年北京冬季五輪を開催する中国にとっては冗談でもなんでもない。

 中国では冬季五輪の候補選手が少なく、開催国としての面目を失うことを恐れるあまり、スター選手を探すために僧院の武術訓練所から人材を略奪している。なりふり構ってはいられない国家体育総局(General Administration of Sport of China)は現在、河南(Henan)省にある有名な嵩山少林寺(Shaolin Temple)から生徒125人を引き抜き、武道の達人を冬季競技のメダリストに転身させようとしている。

 地元紙の河南日報(Henan Daily)によると、フリースタイルスキーをはじめとした冬季五輪競技の初期訓練をするために、先月30日には生徒23人が北京に向け出発。その中で最も優秀な選手が一念発起してニュージーランドに赴き、技術に磨きをかけるという。

 メダル獲得に飢えている中国は、2022年北京冬季五輪に向けて、武術訓練学校を「異種競技における五輪候補生の選考の場」に変えようとしている。新華社(Xinhua)通信では、これまで河南省だけでも600人以上の男女が五輪の有望株として抜てきされたと伝えられている。国家体育総局は全国規模での選手探しについて、「氷上及び雪上競技で才能豊かな選手を増やす」ための計画であると述べた。

 同局ではまた、リクルート活動促進の一環として、スケートボードやトランポリンの選手、さらに雑技団の団員に対して、冬季競技への転身を勧めることを検討している。その理由は明らかで、今年2月の平昌冬季五輪において、中国が手にした合計9個のメダルのうち金メダルは1個にとどまったからだ。(c)AFP