【8月12日 AFP】戦車やジェット戦闘機シミュレーター、グレネードランチャーなどが備わっている学校はあまりないだろう。しかし、北朝鮮の首都平壌にある「万景台革命学院(Mangyongdae Revolutionary School)」は、一般的な教育機関ではない。

 この学校は元々、北朝鮮建国の父である故金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)国家主席が、日本による植民地支配との戦いで親を失った子どもたちを教育する目的で設置したものだが、今では北朝鮮のエリート育成校の一つとなっている。

 校庭には生徒たちを見下ろすように金日成氏と、息子でこの学校の卒業生である故金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の親子像が立ち、校内の廊下には兵器のポスターがいくつも貼られている。

 教室には、多数の小型武器が用意されたものや、可動キャタピラーのついた戦車が置かれたものもある。また射撃は重要科目で、電子標的を使った射撃の実習がある。

 1000人の生徒たちは全員丸刈りで、金日成氏の生母、康盤石(カン・パンソク、Kang Pan Sok)氏がデザインした軍服式の制服を着ている。ズボンに入っている赤いラインは、生徒たちが革命という大義に身を捧げていることを象徴している。

 この学校を卒業した生徒たちは全員、金正日氏が掲げた軍事優先の理念「先軍政治」で主要な役割を担う朝鮮人民軍に入隊する。金体制の3代目にあたる現在の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長も、政府および軍の高官を従えて定期的にここを訪れる。

 万景台革命学院では、45分の授業が1日に6時限ある。カリキュラムの半分は政治とイデオロギーに関するもので、軍事科目が4分の1、残りは通常科目となっている。午後は身体的活動の時間に充てられており、生徒たちは備品が充実したジムで声を上げながらウエートトレーニングに励んだり、上半身裸になってテコンドーの技を磨いたりしている

 学校の近くには校名にもなっている金日成氏生誕の地、万景台がある。生徒たちはここの掃除や管理も行っている。