【8月3日 AFP】中国が、東南アジア諸国連合(ASEAN)と策定に取り組んでいる南シナ海(South China Sea)での行動規範草案の中で、同海でのASEAN加盟10か国との合同軍事演習実施を提案したことが分かった。中国は演習からその他の国を除外するよう主張しており、専門家らはこの案が米国の影響力低下を狙ったものだと指摘している。

 中国とASEANは2日、シンガポールで開いた外相会議で、行動規範の条文のたたき台で合意したと発表。議長を務めたシンガポールのビビアン・バラクリシュナン(Vivian Balakrishnan)外相は、たたき台を「大きな成果」と評したものの、交渉がいつ完了するか明言するのは時期尚早だとも述べた。

 AFPが確認した草案によると、中国政府は、中国とASEAN10か国の合同軍事演習を定期的に実施すべきだと提案。その一方「事前に関係各方面に通知され、反対が表明されない場合を除き」、地域外の国々が演習に関わるべきではないと主張している。中国はさらに、合同での石油・ガス探査も呼び掛けている。

 中国の提案は、南シナ海における中国の影響力を拡大させるとともに、米国をけん制する取り組みの一環。中国政府が南シナ海の大半の海域で領有権を主張する中、米政府は中国と同海の領有権を争う国々を支持している。

 中国とASEANは長年にわたり、戦略上の重要海域である南シナ海での行動規範の策定に取り組んできた。草案は、合意に向け取り組む各国の交渉上の立場を示しており、専門家らは一定の初歩的な進展が見られていると指摘している。

 草案の中で、中国の行動に対し最も強硬な立場を取っているのはベトナムで、各国に人工島の建設や軍事施設の設置をやめるよう呼び掛けている。一方、中国に対する他の国々からの本格的な抵抗はほとんどなく、資源豊富な南シナ海での中国の積極的な軍事拡張に対する東南アジア諸国の反発が近年弱まっている様子がうかがえる。(c)AFP/Martin Abbugao, Ayee Macaraig