【8月26日 AFP】アフリカ南部レソトの山には、世界中からスキーヤーやスノーボーダーが集まるアフリカ屈指のスキーリゾートがある。小規模で、人里離れた場所にあるが、常連客は増え続けている。

 レソト北東部にある施設「アフリスキー(Afriski)」は2002年のオープン以来、ウインタースポーツに魅せられた若者が集う場となっている。いつか、冬季五輪で金メダルを狙える日が来るかもしれない。

「スキー場としては個性的な場所だ」と、マルティン・シュルツ(Martin Schultz)さん(35)は言う。リゾートで人工雪をつくっているシュルツさんは、南アフリカのサーフィンスポット、ジェフリーズベイ(Jeffreys Bay)からやって来た。今ではサーフボードをスノーボードに乗り換え、斜面を滑っている。

 シュルツさんは、ゲレンデの人工雪の質と量を一定に保つ仕事を任されている。マルチ山脈(Maluti Mountains)に位置するこのリゾートには、毎シーズン1万2000人が訪れる。

「高圧の圧縮空気と水を使い、一定の温度と湿度が必要となる」と、シュルツさんは人工降雪機について説明した。リゾートでは、雪が降らない時に人工降雪機を使っている。

 アフリスキーのメインのゲレンデの滑走距離は1キロで、茶色の草地が広がる尾根の間に白く輝く一筋の帯が広がっているようにみえる。リゾートにある3か所のゲレンデは、年に数週間は天然の雪に覆われるが、今は人工雪が敷き詰められている。

■冬季五輪にレソト代表を

 標高3222メートルから下にあるコンパクトな山岳リゾートまで、ここでは上級者も初心者も一緒になり滑っている。リゾートでは氷点下の中、ホットワインを飲み、ヒットチャートを聴くことができる。

 シュルツさんは欧州各地のリゾートでスキーインストラクターとして働いた後、アフリスキーに来た。すでに9シーズンをここで過ごしている。シュルツさんはこの小さなリゾートが、いつの日か冬季五輪メダリストの誕生に寄与することを期待している。

「アフリスキーは、レソトのスキー人口を拡大することを最優先事項の一つにしている。私たちの子ども向けプログラムは、地元の人たちから大きな関心が寄せられている」と述べた。リゾートの従業員は240人で、そのうち4分の3が地元の住民だ。

「タバン・マバリ(Thabang Mabari、10)のように、ここで働く従業員の子どもの中にはスキーをしている子どももいる。彼は約5年前にスキーを始め、かなり上達した。このような子どもたちの将来が楽しみだ」とシュルツさんは語った。「私たちは将来、子どもたちが五輪レベルに達することを目指している。彼らが五輪でレソトの国旗を掲揚できるように」

 将来が有望な若者はいるが、今まで冬季五輪でメダルを獲得したアフリカ南部出身選手はいない。