■大きなポテンシャル

 南アフリカのアルペンスキー選手、シブ・スピールマン(Sive Speelman)さんは、2014年ソチ冬季五輪の出場資格を満たしていた。だが、同国のオリンピック委員会にタイムが遅すぎるとして参加を阻止された。

 スピールマンさんの夢は、冬季五輪で南アフリカ初の黒人のアルペンスキー代表になることだが、今年行われた平昌冬季五輪にも出場できなかった。スピールマンさんは代わりに、同国で唯一、冬季五輪に参加したコナー・ウィルソン(Connor Wilson)選手(21)のテクニカルアシスタントを務めた。

 これまで、レソトから冬季五輪に出た選手はいない。

 アフリスキーはレソトで唯一のスキーリゾートで、サハラ以南のアフリカには他に南アフリカにティフィンデル(Tiffindell)があるのみだ。ティフィンデルは2コースあり、人工雪に頼っている。

「アフリスキーはトレーニングの大きな助けとなった。アフリスキーがなければ冬季五輪には出場できなかっただろう」と、ウィルソンさんは語った。ウィルソンさんは今回もここで2週間、トレーニングに励んでいる。

「ここのポテンシャルは非常に大きい。私はいつも(地元の子どもの)トレーニングに参加している。子どもたちは私のやり方をまねし、常に興味を持っている」とウィルソンさんは述べた。「いつの日か、子どもたちがレソトから冬季五輪に出場できることを願っている」

■アフリカでスキー

 アフリスキーは小規模で設備も比較的限られているが、ウインタースポーツの世界で、確固たる地位を確立していると自負している。

 スキーとスノーボードのインストラクターをしているフランス人のトマ・フロントニ(Thomas Frontoni)さん(23)は、滑走距離は比較的短いが、南部アフリカでのスキーを欧州の人々に勧めたいと語った。

「試してほしい。いつも天気がよくて、眺めも最高、人々もフレンドリーだ。南部アフリカは欧州の人にとって安くすむ」と、ニース(Nice)出身のフロントニさんは述べた。すべてのゲレンデとリフトが利用可能な1日券は34ドル(約3800円)だという。

 シュルツさんは、「南アフリカ、アルゼンチン、カナダなどから大勢練習に来ている」と述べた。

「1キロのゲレンデや、雄大な山々を目当てに来ているのではない」と続けた。「アフリカでスキーをするためにここに来ている。それが、彼らの死ぬことまでにやりたいことの一つだからだ」(c)AFP/Gregory WALTON