【7月31日 AFP】男子プロテニス協会(ATP)と女子テニス協会(WTA)の大会の本戦で、ポイント間の時間やウオーミングアップ時間を厳密に計測する「ショットクロック」が30日に初めて導入された。これについてATPは、多くのルーティンをこなしてからサーブを打つラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)を含め、選手にとって利益になるはずだという見解を示した。

 ATPの規則と競技を統括するゲール・デビッド・ブラッドショー(Gayle David Bradshaw)氏は、「この先いくつか問題は起きるかもしれないが、長い目でみれば誰にとっても前向きな結果になると考えている」とすると、「これは大きなプラスになるはずだ。新しい試みなので心配な面もあるだろうが、実際に試してみればきっとうまくいく」と述べた。

 米ニューヨークで開催される全米オープンテニス(US Open Tennis Championships)では、昨年の予選でショットクロックが試験的に使われており、来月27日に開幕する今季の四大大会(グランドスラム)最終戦では本戦から正式導入されることが発表されている。また、ATPとWTA及び米国テニス協会(USTA)は、選手がルール変更に対応しやすくするために、全米オープンの前哨戦で使用する計画に合意していた。

 世界ランク20位で2014年大会のファイナリストである錦織圭(Kei Nishikori)は、「自分にとっては、簡単にはいかないだろう」とすると、「ポイント間でどこにサーブを打つか考える時間が少なくなってしまうし、気温も高いので、少し厳しくなるだろう」と予想した。

「選手はそれぞれプレースタイルが違う。プレーのテンポが速い選手もいれば、ポイント間で時間をかける選手もいる。より多くのポイントや短いポイントを見たいファンにとっては、良いことかもしれない。選手にとってプラスになるかどうかは分からない」

 ブラッドショー氏はサーブの前にいろいろなルーティンをこなすナダルや、何度もボールをバウンドさせるノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)も、そのうちに慣れていくとしており、「どちらの選手も、時間を把握すれば適応していくだろう。ラファにとっては利益になるはずだ。相手は彼のボールを追いかけた後で、疲れているからね」と語った。

 選手やファンはプレーのペースを速めていくことを望んでいると話したブラッドショー氏は、ニューヨークでATP幹部が会合を開き、来季からツアー全体でショットクロックを使用することを検討すると明らかにした。昨年も試験導入されているネクストジェネレーション・ATPファイナルズ(Next Gen ATP Finals)を除き、全米オープン後の2018年のツアーでショットクロックを使用する予定はない。(c)AFP/Jim SLATER