【7月30日 AFP】ギリシャの首都アテネ近郊の沿岸部で23日に発生した大規模な森林火災で、死者が91人に上ったことが分かった。犠牲者の中には子どもも複数含まれており、現在も25人が行方不明となっている。同国の消防当局が29日、明らかにした。また火災への対応をめぐっては、政府が人的被害について当初隠蔽(いんぺい)を図ろうとしていたのではないかとの批判の声も上がっている。

 火災で犠牲となった子どもの正確な数はいまだ分かっていないが、9歳の双子の女児、生後6か月の乳児、11歳と13歳のきょうだい、さらに13歳の子どもがもう1人死亡したことが明らかになっている。

 また、新婚旅行で同地を訪れていたアイルランド人男性、ポーランド人女性とその息子、ベルギー人男性の4人の外国人の死亡がこれまでに確認されている。

 一方で当局の火災への対応をめぐり、政府は復興に4000万ユーロ(約51億円)を充てるとしているものの、野党は人的被害に関する情報を隠そうとしていたと政府を強く批判している。アレクシス・チプラス(Alexis Tsipras)首相は閣議で、今回の災害について政治的責任を負う意思を示した。

 また、政府は火災の発端に犯罪行為があったとみており、消防当局が調査を進めている。日刊紙カティメリニ(Kathimerini)によると、たき火をした住民の過失が原因との指摘もあるという。

 専門家は欧州で今世紀最悪ともいわれている今回の森林火災について、森林に隣接した地区に建物を多く造るなど、ずさんな都市計画が招いた災害だと指摘している。(c)AFP