【7月29日 AFP】イスラエルを「ユダヤ人の国家」と明記した新法がイスラエル国会(クネセト、Knesset)で可決されたことに抗議し、アラブ系議員で野党シオニスト連合(Zionist Union)のズヘイル・バールル(Zouheir Bahloul)氏が28日、辞任を表明した。バールル氏は国会を「人種差別主義者」と非難している。

 新法はイスラエルを歴史的なユダヤ人の母国と位置づけ、イスラエルにおける民族自決権はユダヤ人「特有」の権利としている。また、ヘブライ語と共に公用語とされてきたアラビア語が公用語から外された。新法に平等に関する言及はなく、イスラエルの民主主義ではユダヤ人であることが優先される特殊性を暗示している。

 今月19日に国会で新法が可決されると、アラブ系議員らは新法は「人種差別」だと抗議し、議場内で法案文書を破り捨てた。

 バールル氏も、こんな法律を可決した国会に自分も籍を置いていたなどとは、とても自分の孫に話せないと思ったという。バールル氏はイスラエルテレビのインタビューにヘブライ語で国会議員を辞任すると述べ、「ユダヤ人国家法は、イスラエルにおける平等の方針から公式かつ合憲的にアラブ系住民を除外するものだ」と語った。

 イスラエル国会は現在、夏季休会中で、バールル氏の辞任が受理されるのは国会が再開する9月になるが、バールル氏は辞任の決意は変わらないと述べた。

 イスラエルの800万を超える全人口のうち、アラブ系住民は17.5%を占める。(c)AFP