【7月29日 AFP】レバノンの環境保護活動家らが28日、ダイバー誘致と海洋生物の新たな生息環境をつくる斬新な試みとして、古い戦車と装甲車両10両を地中海に沈めた。

 レバノン南部の港町サイダ(シドン、Sidon)の3キロメートル沖合で、船の後方に取り付けられた巨大クレーンが軍用車両を水面上につるして次々に海底に沈めていった。

「海底公園」を造るというこの取り組みは地元の非政府組織(NGO)「フレンズ・オブ・ザ・コースト・オブ・シドン(Friends of the Coast of Sidon)」が主導している。同団体はこのプロジェクトのためにレバノン軍から古い軍用車両を譲り受けた。

 同団体の代表者カメル・コズバル(Kamel Kozbar)氏は、軍用車両はすぐに海藻で覆われ「ダイバーにとって天国のような場所になり、水中生物も育つだろう」と語った。

 レバノンには地中海に面した約200キロメートルの海岸があるがビーチも長年レバノンを苦しめてきたごみの問題と無縁ではなく、サイダの海岸線には悪臭を放つごみの山ができている。

 コズバル氏によるとパレスチナ人への連帯を示すため、戦車は砲塔を敵対するイスラエルがある南に向けて沈められている。(c)AFP