【7月28日 AFP】ツール・ド・フランス(2018 Tour de France)は27日、第19ステージ(ルルドからラランス、200.5キロメートル)が行われ、チーム・ロットNL・ユンボ(Team LottoNL-Jumbo)のプリモシュ・ログリッチ(Primoz Roglic、スロベニア)が物議を醸す中でステージ優勝を果たした。

 総合争いではチームスカイ(Team Sky)のゲラント・トーマス(Geraint Thomas、英国)がリードを広げた一方で、チームメートのクリス・フルーム(Chris Froome、英国)はトップから2分37秒差で表彰台圏内から押し出された。

 最後の山岳ステージになったこの日、アルプス(Alps)での第11ステージ、第12ステージと連勝を記録し、ここまでマイヨ・ジョーヌ(イエロージャージー)を維持しているトーマスは、オービスク(Aubisque)峠の手前まで細かくアタックを仕掛けていたログリッチから19秒差の2位でフィニッシュ。これで6秒のボーナスタイムを獲得し、28日の個人タイムトライアルを前に総合2位につけるチームサンウェブ(Team Sunweb)のトム・デュムラン(Tom Dumoulin、オランダ)との差を2分5秒に広げた。

 一方、28歳のログリッチはトーマスと2分24秒差で総合3位に浮上したが、レース後にデュムランから「バイクのスリップストリームを利用していた」と猛抗議を受けた。ログリッチは峠を越えた直後に一気に飛び出し、結果的にはこれが勝利を決定づける結果となった。

 元スキージャンプの選手であるログリッチは、疑惑について問われると「自分に何が言える? 自分に影響力のないことについて、コメントすることはできない。どこに問題があるのか分からない」とコメント。最後の登り坂ではチームスカイにとって抜けないとげのような存在となっており、アタックを仕掛けた際には、通算4度のツール制覇を誇るフルームがついていけなくなる場面もあった。

 そして峠の頂上に達した後、再びログリッチは残り20キロメートルの下り坂で覆いかぶさってくる霧にあらがいながら一気に加速し、必死に追走するトーマス、フルーム、デュムラン、モビスター・チーム(Movistar Team)のミケル・ランダ(Mikel Landa、スペイン)、アージェードゥゼル・ラ・モンディアル(AG2r - La Mondiale)のロマン・バルデ(Romain Bardet、フランス)を置き去りにした。

 レース後、ログリッチの加速に関する疑惑が浮上すると、トーマスも「突然、ログリッチが引き離したように感じた。あのギャップの築き方には、少し驚いたよ。だけど、実際にこの目で確認したわけではない」と語った。

 よほどの事態が起きなければトーマスのイエロージャージが危うくなる心配はないものの、29日にパリで迎える最終日でフルームを何としても表彰台に上らせたいチームスカイとしては、ログリッチをゴールまで自由に走らせることを許す雰囲気はまったくなかった。フルームは終盤の下り坂でどうにかダメージを最小限に食い止め、7人の有力選手が形成した集団の最後尾につけ、ログリッチと19秒差の8位でフィニッシュした。

 その他では、クイックステップ・フロアーズ(Quick Step Floors)のジュリアン・アラフィリップ(Julian Alaphilippe、フランス)が、最初のダスパン峠(Col d'Aspin)とツールマレー峠(Col du Tourmalet)で実力存分に発揮し、「山岳王者」の称号であるマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ(水玉ジャージー)を維持。

 ボーラ・ハンスグローエ(Bora Hansgrohe)のペーター・サガン(Peter Sagan、スロバキア)も、厳しい山岳ステージで最後まで健闘し、トップから38分23秒差でフィニッシュしてマイヨヴェール(グリーンジャージー)を堅持した。(c)AFP/Justin DAVIS