【7月26日 AFP】英国の最高裁判所は25日、夫婦仲が冷え切って愛情がなくなっているとして女性(68)が起こした離婚訴訟で、婚姻関係が実質的に破綻していたとしても、法律の規定通りにそれを証明できなければ関係を続けなければならないとする判決を出した。この判決を受けて弁護士らは、法律が時代にそぐわなくなっているとして速やかな改正を求めている。

 原告のティニ・オーウェンズ(Tini Owens)さんは夫のヒュー(Hugh Owens)さん(80)と1978年に結婚し、2人の子どもを育て上げた。しかし2015年5月、別居後に裁判離婚を申し立てた。

 ティニさんは裁判で、結婚生活は「愛のない」ものになってしまっており、夫の威張り散らしたり自分に屈辱を与えたりする行動はもはや婚姻関係を続けられないほどだと主張した。

 ヒューさんはそれを否定し、ティニさんは浮気をしているか、婚姻生活に飽きたから離婚しようとしているのではないかという見方を示唆した。

 下級審は、オーウェンズさん夫婦の婚姻は実質的に破綻していると判断したが、ティニさんが挙げたヒューさんの行動を離婚が認められる「理不尽な」行動とするには「根拠が薄弱」とした。

 最高裁のニコラス・ウィルソン(Nicholas Wilson)裁判官は、本件は「不安感」をかきたてるとしながらも、離婚を認めなかった高裁の判決を支持した。ただ、このような状況にあるティニさんの離婚を認めない法律について、議会も改正を検討したいと思っているのではないかとも言及した。

 英国の法律では、婚姻関係が破綻していると証明するには、別居、不倫、配偶者に対する義務の放棄、婚姻関係にある人の一方が、婚姻関係の継続を合理的に期待できないことといった5つの条件のうち、少なくとも一つを証明する必要がある。

 別居を関係破綻の根拠とするには5年間同居していないことが必要となるため、ティニさんの場合、2020年まで待たなければならない。

 ヒューさんの弁護士は「この裁判に関わったすべての裁判官が(夫婦)関係は終わっていると認めているのに、オーウェンズさん夫婦が婚姻関係にとらわれたままになるのは常軌を逸している」と批判。法律が時代遅れになっているとして改正が必要だと訴えた。(c)AFP