【7月26日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は25日、南アフリカ・ヨハネスブルクでの新興5か国(BRICS)首脳会議の開幕に当たり、世界的な貿易戦争で「勝者は出ない」と述べ、中国からの全輸入品に関税をかけると警告するドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領を率直な表現でけん制した。

 習主席は「貿易戦争では勝者は出ないため、回避すべきだ」と発言。米国を名指しすることは避けながら、「一国主義と保護主義が高まり、多国間主義と多国間貿易体制に重大な打撃となっている」と指摘した。

 同主席は「われわれは協力か対決か、開放か閉鎖政策か、互恵か近隣窮乏化政策かの選択に直面している」と述べ、「国際社会は再び新たな岐路に立っている」とした。

 会議にはロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領、インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相、ブラジルのミシェル・テメル(Michel Temer)大統領も出席。またアフリカ十数か国の指導者も招かれている。

 南アフリカのシリル・ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領は開幕会合で、「われわれは世界貿易機関(WTO)のルールと相容れない一方的措置の高まりを憂慮するとともに、これらの措置の影響を懸念している」と述べた。

 BRICSはこれまで一つ主張でまとまることに苦労してきたが、専門家らは、米国の貿易政策により新たな目標が定まる可能性があるとの見方を示している。

 インドのジンダル外交大学(Jindal School of International Affairs)のスリーラム・チャウリア(Sreeram Chaulia)教授はAFPに対し、BRICS首脳らは「米国がBRICS構成国すべてを害する厳しい貿易戦争を始めたとの見方で一致している」と指摘。5か国には「集団的利益がある。今回は切迫感がより大きい」と述べた。(c)AFP/Béatrice DEBUT / Michelle GUMEDE