【7月25日 AFP】中国政府が航空各社に対し、台湾を中国の領土として表記するよう要請していたことを受け、香港のフラッグキャリア、キャセイパシフィック航空(Cathay Pacific)が25日、ウェブサイト上の表記を台湾から「中国、台湾」に変更した。

 中国民用航空局(Chinese Civil Aviation Administration)は4月、航空数十社に対し、中国政府の原則に準拠して、台湾を中国の領土として表記するよう求める通知書を送付していた。中国は台湾を領土の一部とみなし、必要があれば武力行使による統一も辞さない構えを示しながら、国際舞台からの台湾の孤立化を推し進めている。

 キャセイパシフィック航空と子会社のキャセイドラゴン航空(Cathay Dragon)はこれまで、台湾を独立した領土として表記してきた。しかし25日朝の時点で、英語と中国語のウェブサイト上の表記を「中国、台湾」に変更した。

 また、より事業規模の小さい香港エクスプレス航空(Hong Kong Express )や香港航空(Hong Kong Airlines)も、英語と中国語のウェブサイト上の表記を「中国、台湾」に切り替えた。

 この動きについてキャセイパシフィック航空に電子メールで問い合わせたところ、同社は「中華人民共和国の香港特別行政区(HKSAR)」の一部として登録されているので、「中国民用航空当局の規則と要求に従わねばならない」との回答が届いた。

 一方、米ホワイトハウス(White House)は5月には「オーウェル的ナンセンス」だとして中国の要求を切り捨てていたが、米ブルームバーグ・ニュース(Bloomberg News)が事情に詳しい人物の発言として報じたところによると、複数の米航空会社も台湾の表記を変更するという。

 豪カンタス航空(Qantas Airways)やシンガポール航空(Singapore Airlines)など、ますます多くの航空会社が台湾のウェブサイト上の表記を「中国、台湾」に変更している。

 台湾で中国懐疑派の蔡英文(Tsai Ing-wen)氏が総統に就任して以来、中台関係は悪化している上、中国は台湾に対する軍事的・外交的圧力を強めている。

 中国はまた政治的・経済的影響力を用い、台湾に残された数少ない公式な同盟国の切り崩しも行っている。(c)AFP