【7月28日 AFP】照りつける熱帯の太陽の下、インドネシアの船大工らが近隣産の木材に金づち、きり、のみを振るい、2本マストの伝統的で複雑な帆船を造り上げていた。この国の島々の沖を数世紀にわたって進んできたような船だ。

 スラウェシ(Sulawesi)島は、「ピニシ(Pinisi)」と呼ばれる象徴的なスクーナー船を建造する国内の産業の中心地で、優れた職人や船乗りがいるとして評判を得てきた。

 ここ数年で使用する工具は変わったかもしれないが、船大工らは重要な造船工程の一つとされている昔ながらの儀式や祈とうをヤシの木が並ぶ島の浜で行う。船が完成し、進水する準備ができると、最後の浄化儀式としてヤギもしくは牛を殺す。

「ピニシ船の建造は、大きさにより数か月から数年かかる場合がある」と、船大工のモハメド・バリ・ジャファル(Muhammad Bahri Jafar)さんは、南スラウェシ(South Sulawesi)州の州都マカッサル(Makassar)より175キロ離れたタナベル(Tana Beru)にある自身の工房でAFPに話した。

 今日もピニシ船は、インドネシアの1万7000もの島々の間を、木材やセメント、住宅のタイル、コメ、たばこ、さらにはオートバイまでを運んで回っている。船内で生活しながらダイビングをするツアー用に、寝室やキッチン、トイレを備えた船も多い。(c)AFP