■収監されるのは誰か?

 エリート層の汚職と刑事免責がはびこるギャンブル中毒の国アルバニアにも、正義はある。

 2002年からアルバニアサッカー連盟(FSHF)の会長を務めるアルマンド・ドゥカ(Armando Duka)氏は、UEFAの報告書に従っており、検察に捜査の開始を求めたという。

 スカンデルベウが5月に国内のカップ戦を制した際、同チームを祝福したドゥカ氏は八百長について「アルバニア特有のものではなく、欧州全体で起きている現象だ」と述べた。

 しかし、同国の賭博企業連盟のアルタン・シャイティ(Artan Shyti)会長は「これまではこうした犯罪がなかなか調査されてこなかった」と言及した。

 首都ティラナにある体育大学で学長も務めるシャイティ氏によると、UEFAは7年前にアルバニアと共同捜査を試みたが、「関係各所の協力関係の欠如」に遭遇したという。

 また同氏は、人口280万人のアルバニアには、現在もっとも懸念されている違法ブックメーカー(賭け屋)やウェブサイトを省いても、賭博事業所が4000軒あると続けた。

 アルバニアのエディ・ラマ(Edi Rama)首相はそのようなオンライン賭博サイトを「経済犯罪」の中心と呼び、操業を停止させる意思を明かしたが、口で言う以上に実行するのは難しい。

 シャイティ氏いわく、「違法な財源」の誘惑を消し去るためには、合法賭博からの税収をクラブの財源に転換することが解決策の一つだという。

 しかしそれ以前に、スカンデルベウに対しては重要な問題が残っている。

 実際、UEFAの報告書にはうやむやにされた部分が多くある。「誰が賭博をしている? 誰が勝った? そして誰が刑務所に行くべきなのか?」。シャイティ氏はこう問う。(c)AFP