【7月23日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領の警護責任者を務めていた側近がデモ参加者を暴行する動画が公開された問題で、仏司法当局は22日、集団暴力などの容疑でこの側近ら2人に対する予審を開始すると決めた。この問題は発足2年目を迎えたマクロン政権にとって最大のスキャンダルに発展している。

 予審開始が決まったのはマクロン氏の側近アレクサンドル・ベナラ(Alexandre Benalla)容疑者と、与党「共和国前進(REM)」の職員バンサン・クラーズ(Vincent Crase)容疑者。

 仏紙ルモンド(Le Monde)が18日に公開し、ソーシャルメディアで拡散された動画には、5月1日のメーデー(May Day)にパリ中心部で行われたデモの際、警察のバイザー付きヘルメットをかぶって警察の腕章を付けたベナラ容疑者が、機動隊の目の前で男性を少なくとも2回殴る様子が映っていた。

 仏大統領府によると、ベナラ容疑者はこの事件後に2週間の停職処分を受けたが、その後もマクロン大統領の警護任務に就いていた。大統領府は20日、ベナラ容疑者を解雇した。

 ベナラ容疑者に対しては、警察官へのなりすましと防犯カメラ映像の不正利用の共謀の疑いもかけられている。

 このほか、ベナラ容疑者の疑いを晴らすのを手助けするため、暴行シーンをとらえた防犯カメラの映像を同容疑者に違法に提供したとして停職処分を受けていた警察幹部3人に対しても、司法当局は防犯カメラ映像の横領と守秘義務違反で予審開始を決めた。

 野党は、透明で誠実な政府を回復し「共和国の責任」を果たすと公約して当選したマクロン大統領が、ベナラ容疑者をかばって事件のもみ消しを図ったと非難している。

 この問題について、マクロン大統領はまだ正式なコメントを発表していない。

  マクロン氏の側近は、エリゼ宮(Elysee Palace)で22日夜に開かれた閣僚会議の後、大統領はベナラ容疑者の事件を「受け入れられない」と考えていると語った。マクロン氏は「必要だと思った時に」事件について語る意向で、「これまでもこれからも、刑事免責の扱いにはならない」と確約したという。

 ルモンドは18日夜に最初の動画を公開した後、ベナラ容疑者がムフタール通り(Rue Mouffetard)近くの広場で起きたデモ隊と警官隊との小競り合いの際に、若い女性を乱暴に地面に押し倒す様子を映した2本目の動画も公開した。

 さらに、仏ニュースサイト「メディアパート(Mediapart)」が公開した3本目の動画には、歩道に押さえ付けられた若い男性に警察官らが殴る蹴るの暴行を加える場面が映っていた。

 仏議会は上下両院とも事件の調査を行うと発表。マクロン政権は、改憲審議の中断を余儀なくされている。極右政党「国民連合」(元「国民戦線」)のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首は「もしマクロン氏がベナラ事件について自らの立場を説明しないなら、事はマクロン氏の問題となるだろう」とツイッター(Twitter)に投稿した。(c)AFP/Anne Pascale REBOUL and Joseph SCHMID