【7月23日 AFP】1999年にインドネシアのバリ(Bali)島へ違法薬物を密輸しようとした罪で18年間服役していたフランス人男性が釈放・強制送還に処され、22日に母国への帰路に就いてまずスイスのジュネーブに到着した。男性に適用されたインドネシアの厳格な麻薬規制法に対し、フランスでは大きな非難が巻き起こっていた。

 1999年12月26日、インドネシア警察はスキューバダイビングの機材の中に大麻3.8キロを隠し持っていたとして、元コックのミカエル・ブラン(Michael Blanc)さん(現在45)をバリ島の空港で逮捕した。

 ブランさんは当初、友人に頼まれて機材を運んだだけだと主張したものの、インドネシアの裁判所はこれを退け、終身刑を言い渡した。これを受けてフランス国内では、不当に厳しい判決だと批判の声が上がった。

 ブランさんの刑期はその後20年に短縮され、2014年にはインドネシアで外国人にはほとんど認められることがない仮釈放を勝ち取ったものの、すぐには出国を許可されなかった。3年間の仮釈放が昨年7月に終わり、さらに1年間保護観察下に置かれた。

 母親のエレーヌ・ルトゥゼー(Helene Le Touzey)さんは、フランスでの生活を捨てインドネシアで息子の釈放運動を20年間近く続けてきた。ブランさんは21日、入国管理局員らが同行する中、母親と共にジャカルタ空港を訪れた。

 ブランさんの出身地である仏西部オートサボア(Haute-Savoie)選出で、ブランさん一家に近いマルシアル・サディエ(Martial Saddier)議員はAFPの取材に対し、ブランさんが「確かにジュネーブに到着した」と認めた。サディエ議員によると、ブランさんは数日間非公開の場所に滞在するとしており、「公の場に姿を現す前に、これまでの約20年の経験から回復する方が先だ」と話した。

 インドネシアは、違法薬物の使用と密輸に関し世界で最も厳格な法律を設けている国の一つで、2014年にジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領が就任して以来、有罪判決を受けた十数人が処刑されている。(c)AFP