【7月22日 AFP】パキスタンの治安部隊は20日、情勢が不安定な同国南西部バルチスタン(Balochistan)州マストゥング(Mastung)で先週発生し、少なくとも149人が死亡した選挙集会での自爆攻撃の首謀者を殺害した。当局が明らかにした。

 今回の作戦は、同州カラート(Qalat)県にある村の住宅に、ヒダヤット・ウラー(Hidayat Ullah)容疑者と特定されたイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の工作員がいるとの情報提供を受けて実施された。

 カラート県当局の高官はAFPに対し、「(準軍事組織の)辺境州防衛部隊(FC)が問題の住宅を急襲。激しい抵抗を受けたものの、ヒダヤット・ウラー容疑者を殺害した」と語った。

 FCの幹部がAFPに対して匿名を条件に語ったところによると、自爆攻撃の実行犯であるハフィズ・ナワズ(Hafeez Nawaz)容疑者を教唆していたのがウラー容疑者だという。

 自爆攻撃としては同国史上最多の犠牲者を出したマストゥングでの事件については、ISが犯行声明を出している。

 州当局が自爆攻撃の実行犯と特定したナワズ容疑者は、アフガニスタン滞在歴のあるパキスタン人で、外国軍に対する「ジハード(聖戦)に従事」した後にマストゥングで犯行に及んだ。

 ただ、2014年に北西部のペシャワル(Peshawar)にある学校が襲撃され、武装勢力による襲撃事件としては同国史上最多となる、主に子どもたち150人超が犠牲となった事件以降、パキスタンでは暴力沙汰が著しく減少している。

 同国の軍部は学校襲撃事件を受けて、アフガニスタンとの国境に接する部族地域で武装勢力に対する作戦を強化し、劇的な治安の改善につながった。

 だが専門家らはかねて、パキスタンは過激主義の根本的な原因に対処しておらず、武装勢力はマストゥングでの自爆攻撃のように、大掛かりな襲撃を実行する能力を維持していると警鐘を鳴らしている。(c)AFP