【7月22日 AFP】フランスとロシアの合同作戦で輸送されたシリア旧反体制派支配地区への人道支援物資が21日、同国に到着した。また、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)ロシア大統領とエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は同日、この作戦について協議した。

 今回の合同人道支援作戦は、両大統領が今年5月、ロシアのサンクトペテルブルク(Saint Petersburg)で会談した際に合意したもの。ロシアと西側国家の間で実施される同様の作戦はこれが初めて。

 ロシア国防省によると、40トンを超える医療物資と人道支援物資を載せた同国の大型輸送機「アントノフ124(Antonov-124)」が仏中部シャトールー(Chateauroux)を21日早朝に出発し、シリア沿岸のフメイミム(Hmeimim)にあるロシア軍基地に到着した。

 支援物資には医薬品、医療機器、衣服、テントが含まれ、シリア首都ダマスカス近郊の東グータ(Eastern Ghouta)地区の住民に配布される。同地区は5年にわたる包囲の末、今年4月に政府軍が反体制派から奪回した。

 配布作業は国連人道問題調整事務所(OCHA)の監督下で行われる予定で、ロシアの代表やシリア赤新月社(Syrian Arab Red Crescent)も加わる。ロシア政府によれば、物資は同社が運営する病院にも届けられる。

 同政府によると、プーチン、マクロン両大統領は21日、「東グータ住民への支援提供」を含む「シリア合意の人道面」や、他の国際問題について協議した。

 一部の観測筋からは、フランスがロシアと協力することが賢明な動きなのか疑問視する声も出ている。

 パリのシンクタンク「モンテーニュ研究所(Institut Montaigne)」でアナリストを務めるミシェル・デュクロ(Michel Duclos)元駐シリア仏大使は、「人道支援物資が流用されたり、アサド(バッシャール・アサド〈Bashar al-Assad〉シリア大統領)に政治利用されたりしないことを担保する仕組みがあるのか」と述べた。(c)AFP