【7月21日 AFP】欧州北部で長期化している未曽有の熱波の影響で、北極圏では森林火災が発生し、農家は干ばつ被害に見舞われ、病院では脱水症状と炎症を伴う日焼けを訴える患者が急増するなどの事態となっている。農業関係者らは作物の収穫量の減少や、牧草の生育不良による牛乳の品質低下、家畜用飼料の不足などが生じる恐れがあると警告している。

 過去1世紀以上で最悪の猛暑にあえいでいるスウェーデンでは、家畜農家が干し草不足のため家畜を食肉処理する事態に発展した。ポーランドでは異例の春の干ばつで9万1000世帯以上の農家が影響を受け、農業省が欧州連合(EU)に財政支援を要請した。

 ラトビアは6月、農業部門の国家非常事態を宣言し、EUに農業補助金交付の前倒しを依頼した。同国西部では今週、大規模な山火事のため住民が避難を余儀なくされ、20日の時点でもまだ消火作業が続いている。

 一方、ポーランドとスロバキアとの国境付近を走るタトラ(Tatra)山脈では、高温がもたらした大雨の影響で鉄砲水が発生した。救助当局によれば、スロバキア側の村で19日夜に住民約300人が避難したという。

 ドイツは5月と6月に起きた干ばつの影響で、今年の農作物の収穫量が20~50%減少するとみられている。

 英国では、イングランド北西部サドルワースムーア(Saddleworth Moor)で放火が原因とみられる原野火災が3週間にわたって続き、今月19日にようやく鎮火した。英国で6月1日から7月16日までの間に記録された雨量はわずか47ミリ。消防当局は、公園や原野は火災が起きやすい危険な状態にあると警告している。(c)AFP/Alice RITCHIE