【7月21日 AFP】カナダ連邦裁判所は、国家安全保障上の明白な危機がない限りカナダ安全情報局(CSIS)が国外で情報収集活動をすることはできないとして、CSISに国外で情報収集活動を実施する許可を出さなかった。

 法律では、CSISはカナダ国内で調査を行う限り外国の情報を収集できると定められている。AFPが20日に確認したカナダ連邦裁判所の判決要旨によるとCSISは、国名は明らかにされていないある外国に関係する情報収集を国外で行う許可を求めていた。しかしCSISの活動範囲を拡大する要求は認められなかった。

 サイモン・ノエル(Simon Noel)判事は18日、判決文の中で、議会から明確な権限を与えられていないため、CSISに領土外での活動許可を出すことはできないと述べた。同判事は「この地域的制約の目的は、CSISが海外で、物議を醸している米中央情報局(CIA)のような「秘密」工作や「攻撃的」な活動を行うのを防ぐことにある」と指摘した。判決文はかなりの部分を隠したものがオンラインで公開されている。

 ジョディー・ウィルソンレイボールド(Jody Wilson-Raybould)法相兼司法長官はCSISの要求を認めるよう促していたにもかかわらずノエル判事は拒絶した。

 CSISのタヘラ・マフティ(Tahera Mufti)報道官はAFPに対し「CSISとカナダ政府はこの決定の影響を見極めるとともに、あらゆる選択肢を慎重に検討している」と語った。同報道官は「国家安全保障と機密上の理由」で今回問題となっているのがどの国なのかは明らかにしなかった。

 連邦裁判所は2016年11月にも、CSISが具体的な国家安全保障上の懸念がないにもかかわらず市民のデータを過剰に収集するのは違法と判断していた。(c)AFP