【7月21日 AFP】スポーツ仲裁裁判所(CAS)は20日、ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)に抵触したイタリア・セリエAのACミラン(AC Milan)への欧州大会出場禁止の処分内容は「バランスが取れていない」として、欧州サッカー連盟(UEFA)の判断を覆した。

 UEFAは先月、ミランが「損益分岐点の必要条件」を満たしておらず、日常業務の資金調達が妨げられているとして、新シーズンのヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2018-19)出場を禁じることを決定した。しかし、このUEFAの判断について、CASは「一部の重要な要素が適切に評価されていない」という裁定を下した。

 CASはミランが損益分岐点の規定に違反しているとするUEFAの判断には同意したものの、「最近になって同クラブは所有権が変わり、財政状況は改善された」と認定。スイス・ローザンヌのCAS本部で異議申し立てを行ったミランからの要求に応じ、訴えをUEFAに差し戻すとして、「現時点における当該クラブの財政状況を基に、新たに懲戒処分するのは、CASパネルよりも(UEFAの)審判議会のほうが立場としてふさわしい」とのコメント文を発表した。

 ミランは2017年4月にイタリア元首相のシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)氏から中国人実業家のリー・ヨンホン(Li Yonghong)氏に買収されて以来、15か月間にわたりトラブルに見舞われていたが、その買収額の一部には米ヘッジファンドのエリオット・マネジメント(Elliott Management)から高金利で借り受けた3億ユーロ(約391億8000万円)が投入されていた。

 ミランが7月から借金返済が不可能になっている事態を受け、エリオット社はクラブの買収に乗り出しており、今月21日の株主総会で承認されることになっている。今や同クラブを完全に支配下に置いている同社は、通算7度の欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League)制覇を誇る名門クラブの経営を安定させるために、5000万ユーロ(約65億円)の投入を約束している。(c)AFP