■サイバー植民地主義

 オシンバジョ副大統領はカリフォルニアで、グーグルの「次の10億人ユーザー」計画についても、ナイジェリア政府は自国、そして世界のデジタルアクセスが広がるよう、「積極的にサポート」すると請け負った。

 医療から農業まであらゆる分野に革命を起こす可能性があるテクノロジー部門ほど、アフリカに希望をもたらしている産業はない。

 例えば、作品の一部からその映画や音楽を突き止めるアプリを製作するナイジェリアのスタートアップ「ウベンワ(Ubenwa)」は、AIを活用して新生児の泣き声を分析し、ナイジェリアの子どもたちに多い死因の一つとなっている新生児仮死の診断に利用されている。問題を早期に発見できれば、数千人の命が救われる。

 エチオピアのアディスアベバ大学(Addis Ababa University)の博士課程で言語技術を研究するテオドロス・アベベ(Tewodros Abebe)さんは、「アフリカ人自らが解決法を生み出す責任を持つべきだ」と語る。「自分たちが取り組まない限り、私たちの大陸に存在する問題は誰も理解できない」

 アベベさんは、グーグルやフェイスブックの動きがいわゆる「サイバー植民地主義」の一形態だという懸念を一蹴する。両者が協力して作業することがアフリカに技術移転を促す上で良い方法になるとしながら、「彼らがもし、ビジネスだけを追求するのであれば、それは植民地化となるが」と付け加えた。

 他方で、携帯電話の普及に押されてアフリカのIT産業が成長するに伴い、各国政府は自国民の個人情報を保護する必要にも迫られている。しかし、新たなデータ保護法がこのほど採択された欧州とは異なり、アフリカ諸国ではプライバシーに関する議論は盛り上がっていない。

 さらに、反貧困を掲げる国際団体「グローバル・ジャスティス・ナウ(Global Justice Now)」は、IT企業が世界的な監視国家をつくる自由を与えられていると懸念する。同団体は5月に発表した「Epocalypse Now」と題した報告書の中で、「われわれはひと握りのIT企業が世界経済の領域全体をコントロールするような世界へ向かって夢遊病のように歩いており、北の先進国と南の発展途上国の間の不平等を悪化させている」と主張した。(c)AFP/Stephanie FINDLAY