【7月19日 AFP】南アフリカは18日、反アパルトヘイト(人種隔離)を象徴する故ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元大統領の生誕100年を迎えた。バラク・オバマ(Barack Obama)米前大統領が同国を訪れて複数の式典で演説を行い、またマンデラ氏と共に白人少数支配への対抗運動を展開したデズモンド・ツツ(Desmond Tutu)元大司教(86)もマンデラ氏の功績をたたえた。

 毎年7月18日にはマンデラ氏の誕生日を祝い、世界各地で慈善行事が催される。ネルソン・マンデラ財団(Nelson Mandela Foundation)は同氏生誕100周年に当たり、マンデラ氏の名の下に「行動を起こし、変化の息吹を吹き込む」よう呼び掛けた。

 ヨハネスブルクでは、オバマ米前大統領が立ち上げた青年指導者育成講座に参加した若者200人に対し、オバマ氏の人生においてマンデラ氏がいかに鼓舞してくれる重要な人物であったかを語った。

 オバマ氏は、「世界中の多くの人がマンデラ氏を、私と似たような髪をした老人だと思っている」と冗談を交えながら話し、「当然ながら人々が忘れているのは、マンデラ氏は非常に若い青年時代に、あなた方と同じ年頃に、母国の解放を目指したことだ」と語った。

 マンデラ氏同様ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞しているツツ元大司教はビデオメッセージで、マンデラ氏との思い出を振り返り、「ネルソン・マンデラ氏が最も非凡だった点は、その平凡さにある。彼はただ人間として、とりわけ優れた手本だった」と述べた。

 そして「マンデラ氏が人生の原則としたのは、愛と公平性、他者への敬意という普遍的な原則だ。それはわれわれ皆が共有する弱さへの理解の上に築かれるものだ」と説いた。

■「奇妙で不確かな時代」への警鐘も

 オバマ氏は前日の17日にも、クリケットのスタジアムで行われた記念式典に出席し、1万5000人の聴衆を前に演説した。

 1990年にマンデラ氏が監獄から釈放された時の「世界中の人々の胸に打ち寄せた希望の波」について回想し、「マンデラ氏は自ら払った犠牲と揺るぎない指導力、そして恐らく何よりも彼が示した道徳規範を通じて、社会から疎外された人々に共通する大志を体現した」と語った。

 同時にオバマ氏は、世界が「奇妙で不確かな時代」に突入したという見方を示した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領への直接的な言及は避けたものの、真実を拒絶しうそをつく「羞恥心を完全に喪失」した指導者らが駆り立てる「不安と怒りの政治」がまん延しつつあると警鐘を鳴らした。(c)AFP