【7月19日 CNS】中国・広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)の地方裁判所に今年3月27日付けで破産を宣告されたシェア自転車の小鳴単車(Xiaoming Bike)に対する債権は、今年6月27日時点で約11万9千件で、5540万元(約9億2千万円)に上ることがわかった。一方、同社の銀行口座の残高は、わずか35万元(約587万円)ほどだ。

 同社は、中国で初めてのシェア自転車の破産案件。裁判所によると、「小鳴単車」の経営母体は広州悦騎信息科技(Guangzhou Yueqi Information Technology)だ。広州悦騎信息科技は、2016年設立。同社の主要業務は、携帯アプリの開発を通したシェア自転車のサービス提供。これまで広州市、上海市など中国の主要都市にシェア自転車約43万台を投入し、集めた保証金の総額は8億元(約134億円)に達した。

 2017年末から、大口利用者に対する保証金の返済が滞るようになり、一部利用者から広州地方裁判所に対し、破産手続きを行うよう申し立てられていた。

 広州地方裁判所は審査を経て、支払い期日を迎えている債務が返済不能になっていることから今年3月27日に受理され、小鳴単車は正式に破産手続きに入った。

■利用者が支払った保証金の返還、見通し立たず

 同裁判所によると、「債権者の数は膨大だ。利用者、販売業者、従業員を含んでおり、全国各地に分散している。特に利用者の債権者は、今後増えるだろう」と話している。

 また、広州悦騎信息科技の資産は分散しており、処理を困難にしている。主要資産はシェア自転車だが、あまりにも広範囲に分散しているため、回収コストも高くつくため、処理が困難になる見通しだ。

 裁判所の破産手続きを経ても、利用者に保証金が返還される見通しも立っていない。広州地方裁判所の裁判長は、「破産とは債務超過に陥っている状態。債権をどの程度現金化できるのかは、会社が所有している自転車をどれだけ現金化できるかにかかっており、恐らくそれは一部に限られるだろう」と話している。

 現在、小鳴単車の情報システムが正常に使用できなくなっており、同裁判所は破産手続きの処理を迅速に実施するため、今年5月10日、同社の情報システム部門責任者に対する出国制限を決定している。(c)CNS/JCM/AFPBB News