【7月19日 AFP】トルコで19日、2016年7月のクーデター未遂事件後に発令された非常事態宣言が解除された。レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)政権はこれまでに7回延長し、トルコ現代史上最大の粛清を行った。ただ、政府はデモや集会の制限などを定めた新たな法案を提出。野党勢力からは一段と抑圧的な措置につながりかねないと懸念の声が上がっている。

 非常事態宣言は、軍用機が首都アンカラを爆撃し、最大都市イスタンブールで激しい衝突が起きたクーデター未遂事件の5日後、2016年7月20日にエルドアン大統領が発令した。事件では249人が死亡した。

 トルコの半国営アナトリア(Anadolu)通信によると、政府が8回目の延長を求めないことを決めたため、19日午前1時(日本時間同7時)に失効した。

 非常事態宣言が続いた間、約8万人が拘束され、公務員約16万人が免職された。粛清では、政府が首謀者と断定した在米のイスラム教指導者、フェトフッラー・ギュレン(Fethullah Gulen)師の支持者だけでなく、クルド人の活動家や左翼も標的にされた。

 政府は、当局に「テロ」組織とつながりがあると見なした公務員を免職する権限をさらに3年認めることや、日没後の公の場でのデモや集会を原則制限することなどを盛り込んだ法案を議会に提出。19日に委員会で、23日に本会議で審議される予定となっている。

 最大野党の共和人民党(CHP)は法案について、実質的に非常事態宣言と同じものだと反発している。(c)AFP