【7月18日 AFP】インド西部マハラシュトラ(Maharashtra)州で、過去数か月に農民600人以上が自殺する危機的な事態となっている。不作による収入の減少が背景にあるとみられ、国の人監視機関は16日、州と中央政府に調査と対応を勧告した。

 インドの農業は政府からの支援があるにもかかわらず、干ばつや不作、不十分なインフラ、農産物の価格の安さなどから厳しい状況にあり、マハラシュトラ州の農家は特に大きな打撃を受けている。

 マハラシュトラ州政府の先週の発表によると、今年3月から5月までに639人の農民が自殺した。1日当たり平均7人が自らの命を絶っている計算だ。

 同州では過去数年、農民による抗議行動が起きており、暴動に発展したこともある。

 こうした中、インドの人権監視機関である国家人権委員会(NHRC)は16日、連邦政府と州政府に対し、1か月後に状況について報告するとともに、合わせてどのような福祉対策が可能かを説明するよう求めた。

 来年の総選挙で再選を目指すとみられるナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は、2022年までに農民の収入を2倍にすることを公約し、13億ドル(約1470億円)かけて農民のための保険制度を設けた。

 しかし、マハラシュトラ州のチャンドラカント・パティル(Chandrakant Patil)財務相は14日の州議会で、これまでに補償を受けた農民は174人にとどまっており、122人は申請を却下され、329人が審査中だと述べている。

 野党側は、モディ首相の人民党(BJP)がマハラシュトラ州と国政の両方で権力を握った2014年以降、州内で約1万3000人を超える農民が自殺したと主張している。

 一方、政府の統計では、2013年以来、農民の自殺者は全国で年間1万3000人となっている。大半は、不作により民間業者からの高金利の融資を返済できなくなったことを苦にしたものとされる。(c)AFP