【7月17日 東方新報】中国・天津市(Tianjin)の王慶坨鎮(Wangqingtuo)は、「中国自転車の鎮」と呼ばれていた。2016年、シェア自転車の流行の波に乗って、毎日数千台のシェア自転車を積んだトラックが、この街から中国各地へと運び出されていた。

 街中の工場は注文であふれ、工場の多くは急いで生産能力を拡大させた。自転車業界に春が訪れたと、誰もが期待していた。しかしそれから1年、中国の各地でシェア自転車を追加で投入することが禁止されるようになり、投下した資金を回収できず、倒産に追い込まれるシェア自転車企業も多くなってしまった。

 記者は、現在の王慶坨鎮を訪れた。「シェア自転車を回収し、再度売り出す」という新たな産業が成り立っていることがわかった。

■数万台が畑に積み上げられ

 中国各地から低価格で回収された中古のシェア自転車は、新調されて別の企業に転売される。その代金を回収し、資産を金に変えることで、投下した資金を回収しようとしている。数万台の自転車がすでに別の企業に転売されているが、それ以上にたくさんの自転車が各地に散乱している。もともと数百~1000元の高品質の自転車が、今では安売りされている。

 王慶坨鎮から10キロほど離れた畑には、数万台のシェア自転車が積まれている。そのうち3万台が「酷騎単車(Kuqi Bike)」の自転車で、昨年下半期に製造されたものだが、同社が倒産してしまい、使用されないまま回収されたのだという。

 新しいとはいえ、風雨に長い間さらされ、鉄製の車体はところどころさびて古びて見える。自転車の山の中には、「小藍単車(Bluegogo)」の自転車もちらほら。アルミ製の「小藍単車」の車体は、さびてはいない。

■原価の2割でしか売れない

 近所の工場の社長は、「このシェア自転車は、もったいない。『酷騎単車』の車体は、最低でも600~700元(約1万~1万2000円)はする製品だ。『小藍単車』は、少なく見積もっても1000元(約17000円)は下らない。全部いいものなのに、本当にもったいない」とため息混じりに話す。

 シェア自転車は風雨に耐えるため、一般的な自転車よりも品質が高い。シェア自転車に取り付けられている鍵も特別な製品で、一つ数百元するというが、現在では鍵付きの中古シェア自転車は240元(約4000円)、鍵なしだと120元(約2000円)ほどの値しかつかないという。(c)東方新報/AFPBB News