【7月18日 AFP】米ワシントン・ボルチモア広域都市圏ではこの数か月、大手リサイクル企業が大きな問題に直面している──これまで、中国に売っていた紙やプラスチックなどの資源ごみの処分を有償で別の業者に依頼しているのだ。再生材が「汚染されている」として、中国政府が資源ごみの輸入廃止を発表したことがその背景にはある。

 首都ワシントンから車で1時間、メリーランド州エルクリッジ(Elkridge)にあるリサイクル企業「ウェースト・マネジメント(Waste Management)」の工場では、ベルトコンベヤーの上を週5日間、24時間体制でゴミが流れている。900トンに上るごみは、確かにきれいとは言い難い。耳をつんざくような騒音と茶色っぽいちりの中で、手袋とマスクをした数十人の従業員──その多くは女性──が資源ごみの山からありとあらゆる物を手早く仕分けしているが、これら資源ごみが「汚染物質」と見なされてもおかしくないありさまだ。

 作業員らが仕分けしているのは、衣料品やケーブル、木の枝、そしてリサイクル業者にとって厄介なレジ袋など何でもありだった。レジ袋は、機械に巻き付いてしまうため、本来はリサイクルの対象ではない。

 米科学誌「サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)」によれば、1992年以降、世界中のプラスチックごみの72%が中国と香港に送られていたとされる。

 しかし、中国政府は先ごろ、世界のごみ箱/再生分別箱になることを嫌って新たな環境政策を打ち出し、今年1月以降、大半の古紙とプラスチックごみの輸入をやめている。

 米国の廃棄物処理業者らは、中国が2020年までにすべての資源ごみの輸入を取りやめる可能性があるとみているが、残された期間が2年足らずというのはあまりにも短い。

 ワシントンを拠点とする米国再生資源協会(ISRI)のアディナ・リネー・アドラー(Adina Renee Adler)氏は、「単独で、いや率直に言うと、おそらく数か国単位の集まりでも、中国が引き受けていたほどの量の廃棄物を受け入れられるところはどこにもない」と指摘する。