■暴力の恐怖

「(女性が投票に行かない)最大の理由は、女性が家から出ることさえ認めない地域があることだ」と、ジェンダー専門家で活動家のファルザナ・バリ(Farzana Bari)氏は指摘した。選挙管理委員会が規則を変更したことにより状況は改善されるはずだ。だが、バリ氏は、各選挙区内には女性が投票に行くことを阻止する地区があるかもしれないと警告している。

 モーリプールでは、女性が家の外に働きに出ていて、教育を受けている女性もいる。それでも、投票に行くことは禁止されたままだ。ムラサキフトモモの木の下に集まった若い女性の多くは選挙権を行使したがっているが、全員がそう思っているわけではない。

「1人で選挙に行ったら、暴力や混乱が生じ、男性が女性を虐待したり、殴ったりするだろう。だから行かないほうがいい」と、22歳のシュマイラ・マジード(Shumaila Majeed)さんは指摘する。それにもかかわらず、マジードさんの「できる限り」多くの女性を投票に連れて行くという決心は変わらない。

 モーリプールで唯一の女性議員イルシャド・ビビ(Irshad Bibi)氏は、村議会議員の少なくとも1人は女性であることという法律に従って選ばれた。だが、投票に行ったことはない。

 なぜ投票に行かないのかと質問すると、ビビ氏は彼女に代わって夫が答えるよう求めた。

「私たちの長老がこの慣習を決めた。私たちは今日でもこれを支持している」と、夫のザファル・イクバル(Zafar Iqbal)さんはAFPに語った。