【7月17日 CNS】中国・広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)柳州市(Liuzhou)に住む楊順徳(Yang Shunde)さん(61)は、南寧鉄道公安局を定年退職してから1年がたつ。今も、ボランティアとして毎日、かつての職場に出勤している。「少年の更正の達人」と呼ばれている楊さんは、悠々自適な退職後の生活を送ることも考えていたが、困っている人がいるとほっておけない性分だ。

 痩せ型。右耳には補聴器をつけている。手には銀色の保温ポットを持っていて、少し話すとすぐ水を飲む。そしてそんな楊さんは、大変な熱血漢だ。

 1976年に鉄道公安局に職を得た当時は、少年の更正といった分野とは縁がなかった。98年末、所長に抜てきされた際、咽頭がんの中期から後期だと診断された。療養のため、楊さんは学校の警備部門に配置転換された。

 新しい職場で調査を行ってみると、授業を休みがちだったり、インターネットカフェに入り浸ったりしている少年がいた。また、家出やけんか、さらには犯罪に手を染めているケースさえあることを知った。

 問題を抱える少年たちの手助けをするため、楊さんは2004年2月、「順徳更正グループ」の設立に関わった。中国の公安組織で初めてとなる、少年の更正に専門的に取り組む組織だ。報道により、楊さんの名は中国全土で有名になった。

 この20年ほど、楊さんは全国各地からの電話や手紙に対応している。中国各地からの電話に毎日応対し、短い時で30分、長い時で2時間の電話相談に応じることもある。楊さんはかつて、ある母親からの相談を電話で受けた。自分の娘と不仲で、話し始めるとすぐに言い争いになると母親は言った。

 楊さんは、その娘と電話で連絡を取り、1時間以上も話し込むこともあった。母親は、なぜよく知らない人が娘と長電話ができるのか、また笑顔を見せるようになったのか、とても不思議だったという。

「相手の話をよく聞くこと、話を遮らないこと、同意すること、笑うこと、親近感を持つこと、そして褒めることだ」。楊さんは笑いながらその秘訣を話した。

 楊さんは母親に対し、娘の趣味などを通じて子どもの声に耳を傾け、「友達になるように」とアドバイスをした。その後、二人の関係は改善していったという。

 楊さんは、一対一で子どもを助け、保護者が問題を解決できるようにするだけでなく、学校や関係機関にも出向いて法制度についての講演も約600回行い、聴衆の数は約48万人に上る。

 楊さんのもとを相談に訪れた人は1万人を超え、2000人もの人がお礼に訪れている。(c)CNS/JCM/AFPBB News