【7月16日 AFP】ツール・ド・フランス(2018 Tour de France)は15日、第9ステージ(アラス・シタデルからルーベ、156.5キロメートル)が行われ、名高い石畳区間を覆った土ぼこりの影響で、多数の落車と複数のリタイアが出るアクシデント続きの展開の中、トレック・セガフレード(Trek Segafredo)のヨーン・デーゲンコルプ(John Degenkolb、ドイツ)がBMCレーシングチーム(BMC Racing Team)のフレフ・ヴァンアフェルマート(Greg Van Avermaet、ベルギー)を抑えてステージ優勝を飾った。

 デーゲンコルプは2年前、スペイン・マジョルカ(Mallorca)島での練習中、他の5選手とともに旅行者の運転する車とぶつかる事故に遭い、大けがをしていたが、復活を印象づけるステージ優勝となった。パリ~ルーベ(Paris-Roubaix)の優勝経験も持つデーゲンコルプは「ルーベは大好きだよ」とコメントしている。

 総合首位のヴァンアフェルマートはマイヨ・ジョーヌ(イエロージャージー)を守ったが、チームリーダーのリッチー・ポート(Richie Porte、オーストラリア)が落車リタイアを強いられた。その他の総合勢の多くはおおむね固まってフィニッシュしている。

 レースは残り15キロ地点でデーゲンコルプら3人が抜け出すと、トリオはすぐに協力態勢を築き、代わる代わる先頭に立ちながら集団との距離を広げていった。そして大方の予想通り、スプリント能力に勝るデーゲンコルプが三つどもえの争いを制した。一方のヴァンアフェルマートは、次週から始まる山岳ステージでのマイヨ・ジョーヌ維持を目指していた。

 デーゲンコルプは「3人で抜け出した時点で、スプリント勝負なら勝てるのは分かっていたが、そこまで付いていけるかは分からなかった」と話した。

 また、合計で22キロに及ぶでこぼこの石畳区間では、事前に予想されていた通りの展開が起こった。

 アージェードゥゼル・ラ・モンディアル(AG2r - La Mondiale)のロマン・バルデ(Romain Bardet、フランス)は、最後の石畳区間を抜けた後の残りわずか5キロほどの地点でこの日3回目のパンクに見舞われ、集団に置いて行かれた。

 チームスカイ(Team Sky)のクリス・フルーム(Chris Froome、英国)はこのタイミングでアタックを仕掛けており、すでに一部のファンからブーイングを浴びているフルームへの沿道からの風当りは、今後さらに強くなることが予想される。

 ツイッター(Twitter)でもこの行動について批判を浴びたフルームは、「バルデに問題が起こっているなんて知らなかった。みんながテレビで見ているのと同じものが、選手にも見えているわけじゃないんだ」と反論している。

 バルデはその後激走し、息を切らせながらゴール直前でフルームの集団に追いついている。2016年大会は総合2位、昨年は3位で、今年こそはというフランスの期待を背負うバルデは、土まみれで「復帰できたのはミラクル。自分がまだツール・ド・フランスに残っているのもミラクルだ。アタックを仕掛けてプロトンをばらばらにしてやろうと思っていた中での出来事だった」とコメントした。

 モビスター・チーム(Movistar Team)にとっては複雑な一日になった。チームではアレハンドロ・バルベルデ(Alejandro Valverde、スペイン)とナイロ・キンタナ(Nairo Quintana、コロンビア)がメイン集団でフィニッシュした一方、ミケル・ランダ(Mikel Landa、スペイン)は水のボトルに手を伸ばそうとして落車。最終的なロスは7秒で済んだが、ひどい不注意だった。

 また、この日はでこぼこの石畳の餌食になる選手が何人も出ることが予想されていたが、最初の犠牲者であるポートは、石畳とは関係のない地点で落車した。ポートは肩のあたりの骨を折ったとみられ、10キロ過ぎで涙とともに大会を去った。

 第7、第8ステージを見事な走りで連勝したチーム・ロットNL・ユンボ(Team LottoNL-Jumbo)のディラン・フルーネヴェーヘン(Dylan Groenewegen、オランダ)も、中間地点を少し過ぎたあたりで落車。その他にも数多くの選手が地面にたたきつけられた。(c)AFP/Damian MCCALL