【7月15日 AFP】タンザニアのジョン・マグフリ(John Magufuli)大統領は14日、受刑者は無料の労働力であり、昼夜を問わず働かせるべきで、怠ける受刑者は「蹴とばせ」と述べた。

 独裁主義的な姿勢と個人の自由への締め付けで人権団体から激しい非難を浴びているマグフリ大統領は、新任のフォースティン・マーティン・カシケ(Faustine Martin Kasike)刑務局長の就任式で「国家が受刑者に食べ物を与え続けるというのは実に遺憾だ。どの刑務所にも土地があるのだから、受刑者に自分たちの食べ物を生産させるべきだ」と述べた。

 さらに「刑務所の職員には、自分の家を持っていない人もいる。受刑者を働かせろ。昼も夜もなくれんがを作らせろ。怠けたら蹴とばせ。諸君は労働者を所有している。そしてそれは無料だ」と付け加えた。

 マグフリ大統領は、配偶者の訪問を許可する刑務所職員も批判した。「夫が刑務所にいて、妻が塀の外に取り残されている。妻がやって来て、刑務所の職員は受刑者が収監されている間するべきではないことをさせている。そういう話はもう聞きたくない」

 さらに、刑務作業が少ないと受刑者の麻薬使用や同性愛が助長されると指摘し、「そんな話は聞きたくない。私は刑務所の運営管理の改革を要求する」と述べた。

 マグフリ大統領は以前にも、反同性愛キャンペーンを立ち上げたり、妊娠中の女子生徒の登校を禁じたりして人権団体の怒りを買っていた。「ブルドーザー」の異名を取る同大統領は汚職を遠慮なくたたき潰す直截(ちょくせつ)な人物として人気を集め、2015年10月に大統領に選出された。

 しかし、タンザニアの非政府組織(NGO)トゥワウェーザ(Twaweza)は今月に発表した世論調査で、就任当初は96%だったマグフリ大統領の支持率が55%にまで落ち込んでいると明らかにした。この調査結果に政府は怒りをあらわにし、同団体に16日までに調査を詳しく説明するよう要求し、さもなくば法的措置を取ると警告した。(c)AFP