【7月15日 AFP】燃料価格引き上げに反対するデモの参加者が暴徒化し略奪が横行していたハイチで14日、ジャック・ギイ・ラフォンタン(Jack Guy Lafontant)首相が辞任を表明した。

 ラフォンタン首相は議会下院で、ジョブネル・モイーズ(Jovenel Moise)大統領に辞表を提出し大統領は受理したと述べた。ラフォンタン首相は職にとどまる意向を強調してきたが、辞任しなければ不信任決議案を提出される恐れがあった。

 先週ハイチ政府は、ガソリンで38%、ディーゼル油で47%、灯油で51%の値上げとなる大幅な燃料価格引き上げ計画を発表していた。これを受けて首都ポルトープランスなどの都市で大規模な抗議行動が行われ、デモ隊が主要幹線道路をバリケードで封鎖したりタイヤを燃やしたりする事態に発展した。

 多くの商店が略奪され火を付けられたり、車が燃やされたりする中、少なくとも4人が死亡。政府は素早く方針転換し燃料の値上げを中止した。医師で2017年2月に首相に就任したラフォンタン氏は政治経験が浅く、同氏への批判はデモ隊が暴徒化する前から拡大していた。

 ポルトープランスでは14日、デモ参加者数百人がラフォンタン首相のみならずモイーズ大統領の辞任も要求しデモ行進を行った。あるデモ参加者は、「首相を変えれば解決できる問題ではない。なぜなら今もまだ人々の生活は日ごとにいっそう困窮し、失業や不安定さ、空腹にあえいでいるのだから」と訴えた。

 貧困国のハイチでは人口の約60%が1日2ドル(約220円)未満で暮らしており、人々はどんな小さな値上げにも大きな影響を受ける不安定な生活を強いられている。(c)AFP