【7月15日 AFP】イラク南部マイサン(Maysan)州で13日夜から14日朝にかけて、失業に対する抗議デモの参加者2人が死亡した。デモは隣接するバスラ(Basra)州の港湾都市バスラで8日に始まったもので、14日までに首都バグダッドを含む国内各地に広がっている。バスラでも先に参加者1人が死亡しており、一連のデモでの死者は3人となった。

 マイサン州保健当局によると、同州での死者2人は州都アマラ(Amarah)で、銃の傷によって死亡したと述べた。2人を殺害した容疑者は不明だが、当局は、市内で「無差別な発砲」があったとしている。

 医療筋によれば、負傷者は過去1週間で、治安部隊員を含む数十人に上っている。

 一連のデモは、イラクがイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」との過去3年にわたる戦闘の後、再建に向けた困難に直面する中で発生した。また、同国では今年5月に行われた総選挙の後、政治空白が生じている。

 デモは失業や生活費の上昇、基礎的な公共サービスの不足に対するもので、バスラで8日、参加者1人が治安部隊に殺害されたことを受けて激化。参加者は道路を封鎖するためタイヤに火をつけたほか、政府施設に押し入ろうとした。

 治安筋がAFPに述べたところによれば、首都バグダッドでも14日未明、市北部で小規模な抗議デモが行われ、多数の治安要員が出動した。

 ソーシャルメディア上では、バグダッドでの14日の大規模デモ実施を呼び掛ける匿名の投稿が見られ、中には旧米軍管轄区域「グリーンゾーン(Green Zone)」に向かうよう促すものもあった。同区域にはイラク政府施設や米英を含む各国大使館があり、大多数のイラク国民が立ち入りを禁止されている。(c)AFP