【7月14日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は13日、訪問先の英国で、欧州連合(EU)離脱後もEUとの緊密な関係を維持するとのテリーザ・メイ(Theresa May)英首相の方針に対する批判の矛を収め、同首相を称賛するとともに、両国関係は「かつてなく強力」だと強調した。一方、ロンドンでは、トランプ氏訪問への抗議デモに数万人が集まった。

 トランプ大統領はこれに先立ち、英国のEU離脱(ブレグジット、Brexit)後もEUと緊密な関係を保つというメイ首相の計画は、米英による2国間貿易協定締結の可能性を「潰す」ことになると警告。この発言が、就任後初の英国公式訪問に影を投げ掛けていた。トランプ氏の警告は、英与党・保守党内のEU懐疑派が示す懸念に同調するものだった。

 しかしトランプ大統領は、ロンドンの北西にある英首相別邸チェッカーズ(Chequers)でメイ首相と会談した後、メイ氏のEU離脱交渉の戦略をめぐる発言は性急だったかもしれないと述べた。

 トランプ大統領はチェッカーズの庭で行った記者会見で、メイ首相に対し、「あなたが何をしようと構わない。われわれの間で商取引ができるようにしてくれるだけでいい。大事なのはそれだけだ」と語り掛けた。

 さらに大統領は、「米国は優れた2国間貿易協定で合意することを楽しみにしている」とした上で、メイ首相は「卓越した女性」だと述べ、その指導力を繰り返し称賛した。

 この間、ロンドンでは、トランプ氏の国内政策を非難する抗議デモが盛り上がりを見せていた。

 そのわずか数時間前に英大衆紙サン(The Sun)が掲載したインタビューで、トランプ大統領は、メイ首相のEU離脱計画は有権者の求めるものではないとの見方を表明。英外相を辞任したばかりのボリズ・ジョンソン(Boris Johnson)氏が「偉大な首相」になるだろうと述べていた。

 しかし大統領は、同紙が一連の発言の録音を公開したにもかかわらず、メイ首相を批判したことを否定。サンの記事には「偽ニュース」の要素があると述べた。

 トランプ大統領は会談後、メラニア(Melania)夫人を伴い、ウィンザー城(Windsor Castle)でエリザベス女王(Queen Elizabeth II)との茶会に臨んだ。(c)AFP/Jerome CARTILLIER with Joe JACKSON in London