【7月13日 AFP】米国で1955年に起きた黒人少年、エメット・ティル(Emmett Till)さん殺害事件について、米司法省が捜査を再開したことが明らかになった。アフリカ系米国人のティルさんが殺害された事件は、公民権運動が勢いづくきっかけとなった。

 当時14歳だったティルさんは1955年8月、シカゴの自宅から南部ミシシッピ州の親類の家を訪ねていた時に誘拐され、3日後に川で損傷の激しい遺体となって発見された。

 ティルさんの母親は、息子の身に起きたことを世界に知らしめるため、ひつぎを開けたままにして息子の遺体を公開するよう主張したことで知られている。

 ティルさんは殺害される数日前、ある店の中で白人女性のキャロライン・ブライアント(Carolyn Bryant)さんをつかみ、性的な発言をしたとされている。

 このキャロラインさんの夫のロイ(Roy Bryant)さんと、ロイさんの片親違いの兄弟のJ・W・ミラン(J.W. Milam)さんが、ティルさん殺害容疑で逮捕されたが、この2人の白人男性に陪審員は無罪評決を下した。

 しかし、2人は後に雑誌のインタビューの中で、ティルさん殺害を認めた。ロイさんは1994年に、ミランさんは1981年に死去した。

 司法省は3月に議会に提出した報告書の中で、「新たな情報の発見に基づき」ティルさん殺害事件の捜査を再開すると述べていた。2007年に打ち切られたティルさん殺害事件の新情報の内容については言及されていない。

 現在は、キャロライン・ドナム(Carolyn Donham)さんという氏名になっているキャロラインさんは、昨年出版されたティモシー・B・タイソン(Timothy B. Tyson)氏の著書「The Blood of Emmett Till(エメット・ティルの血)」の中で、店内で起きた事件についてうそをついたと告白している。(c)AFP