【7月14日 AFP】スポーツ人口のほとんどを男性が占めるイスラム教国マレーシアで、頭にスカーフを巻き、見事なサッカーボールさばきを披露する少女が注目を集めている。

 女子学生のコウイルニサ・エンダン・ワジュディ(Qhouirunnisa Endang Wahyudi)さん(18)が夢中になっているのは、サッカーのリフティング技術を中心に全身を駆使してアクロバチックな技を競うパフォーマンス、フリースタイルフットボールだ。足で器用にボールをジャグリングし、靴の裏や額の上にぴたりと乗せてみせる。

「スカーフは邪魔じゃないです」。首都クアラルンプールから南西に約40キロ離れたクラン(Klang)市内の公園でAFPの取材に応じたコウイルニサさんは言った。「これが普通。扱い方次第ね」

 女性の多くがイスラム教の教えにのっとってスカーフで頭を覆い、体の線が出ないゆったりした服装に身を包んでいるマレーシアだが、イスラム教は女子スポーツを禁じているわけではないとコウイルニサさん。2016年にフリースタイルフットボールに出会い、ユーチューブ(YouTube)の動画で技を学び、磨いてきた。家族も全面的に応援してくれているという。

「フリースタイルでは、体さえ直接見せなければ何をやっても自由なの」

 サッカーはマレーシアでトップクラスの人気を誇るスポーツ。男子代表チームの世界ランキングこそ171位と振るわないものの、W杯のような国際大会があれば全国でファンが真夜中すぎまでテレビ中継にかじりつき、外国のチームを応援して盛り上がる。

 インターネット上では、コウイルニサさんが技を披露する動画のファンがどんどん増えている。インスタグラム(Instagram)には7万2000人のフォロワーがいる。

「女性であることはハードルじゃない。女性もスポーツで活躍できる」と語るコウイルニサさん。夢は、いつの日か憧れの存在であるフリースタイルフットボール界の若手スター、フランス人少女のリサ・ジムーシュ(Lisa Zimouche)さんに会うことだそうだ。(c)AFP