【7月13日 AFP】ニュージーランドの科学者チームがこのほど、人体の3DカラーX線撮影を世界で初めて実施した。撮像技術の開発に寄与した欧州合同原子核研究所(CERN)が発表した。医療診断分野の今後の向上にも期待が寄せられている。

 従来の白黒のX線撮像技術に基づくこの最新装置には、CERNの粒子加速器「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」のために開発された粒子追跡技術が組み込まれている。LHCは2012年、質量の謎を説明する見えない粒子「ヒッグス粒子(Higgs Boson)」を発見した。

 今回のX線撮影についてCERNは、「カラーX線撮像技術は、従来のものと比べ、明瞭で正確な画像を生成し、より正確な診断を患者に提供する上で有用となると考えられる」としている。

 CERNが開発した「メディピクス(Medipix)」と呼ばれる技術は、カメラのように機能し、シャッターを開放している間に画素に当たる個々の粒子を検出・計数する。この技術により、高解像度でコントラストの高い画像が生成できる。

 開発者でニュージーランド・カンタベリー大学(University of Canterbury)のフィル・バトラー(Phil Butler)氏は、「今回開発された装置の画素の細かさとエネルギー分解能の精度の高さが意味するものは、他の撮像装置では実現することのできない画像も入手できるということだ」と述べる。

 CERNによると、カラー画像では、骨、筋肉、軟骨などの違いが非常にはっきりと分かるだけでなく、がん性の腫瘍などの位置と大きさを極めて明確に示されているという。

 今回の技術はニュージーランド企業のマーズ・バイオイメージング(MARS Bioimaging)が商品化を進めている。同社は装置の開発に協力したニュージーランド・オタゴ大学(University of Otago)とカンタベリー大の関連企業だ。(c)AFP